不動産の売却は、原則として不動産所有者本人が契約手続きに立ち会わなくてはなりません。
しかし、遠方に住んでいる、もしくは忙しくて時間がとれないという理由で、契約に立ち会えないケースもあります。
その際に活用できるのが、代理人に契約手続きを委任できる仕組みです。
では、不動産売却時に代理人へ委任する仕組みや、手続き方法を詳しくみてみましょう。
不動産売却時に代理人へ委任する仕組みと委任できるケース
不動産売買は高額な取り引きとなるため、原則として売主・買主ともに本人が立ち会わなければなりません。
しかし、何らかの事情で立ち会えない場合は、代理人に委任して取り引きをおこなうことができます。
委任された代理人は、依頼者本人と同等の効力を保持し取り引きにのぞめます。
では、実際に代理人に委任できるケースを見てみましょう。
売却したい不動産が遠方にある
売却したい不動産が遠方のため契約の打ち合わせや立ち会いができない場合、代理人に委任できます。
不動産の所有者が海外在住や高齢で移動が困難な場合も、同様です。
契約手続きをおこなう時間がとれない
不動産の売買契約は、打ち合わせや書類確認など長い日数を要することがほとんどです。
仕事が多忙な人や通院・治療中の人など、ほかに優先事項があり契約手続きに多くの時間をとれない場合、代理人に委任できます。
売却予定の不動産に複数の所有者がいる
遺産相続などで所有者が複数いる場合、すべての所有者が契約に立ち会わなくてはなりませんが、現実的に全員の都合を合わせるのは困難です。
代理人に委任すれば所有者の代表として、契約にのぞめます。
また、夫婦共有の不動産を離婚後に売却するなど、契約でお互い顔を合わせたくない場合も、依頼人に委任できます。
不動産売却を代理人へ委任する際に必要な代理権委任状と注意点
代理権委任状を作成する
不動産売却は高額な取り引きとなるため、トラブルを防ぐために代理権委任状を準備します。
代理権委任状に委任したい項目を記載し、代理人にどこまで権限を委ねるのか明確にしておきます。
記載する項目は、契約締結や引き渡しなど権限を委任する範囲、土地・建物の詳細、委任者・代理人の住所氏名などです。
代理人に委任する際の注意点
代理人に委任すると、権限は不動産所有者と同じ効力を持つため、代理人選びは慎重におこないましょう。
専門の知識を持った弁護士や司法書士、信頼のおける親族のなかから選定するのがおすすめです。