マンションや戸建てを手放すときに、傾きがあると売却できないと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際にはまったく売却できないわけではなく、傾きの度合いによっては許容される場合もあるのです。
今回はマンションに傾きが認められた場合にどのように売却するのか、傾きの原因や許容範囲も含めてご紹介します。
マンションの傾きの原因と売却できる許容範囲
戸建てでもマンションでも、傾き方によっては健康被害を招く恐れがあり、そのまま売却すると契約不適合責任を問われる可能性があることは知っておかなければなりません。
基準となるのは国土交通省が公表している数値で、傾きが6/1,000以上であれば構造上の瑕疵の可能性が高いとしています。
4/1,000から5/1,000程度の傾きは、人によっては体感できないこともあり一概に欠陥とは言えません。
また、3/1,000に満たない傾きは、ほぼ体感されることはなく瑕疵の可能性は低いとされています。
これらの数値には法的な拘束力はありませんが、一般に施工基準として考えられており、施工業者のなかには傾きの限度を5/1,000までとしているところもあるのです。
言い換えると、5/1,000未満の傾きは許容範囲だということです。
傾きが発生する原因としては、施工ミスのほか地震など自然災害による地盤沈下や埋め立て地の不同沈下などが考えられます。
マンションの欠陥は新築から10年を目安に表に出てくることが多いので、傾きの度合いを見るときに築年数もあわせて判断するとよいでしょう。
マンション売却で傾きがあるときの売却方法
傾きの程度によっては住み続けることで健康を害する恐れがあるため、傾き物件は売却前に専門家による検査を受けるようにしましょう。
万が一、専門の検査を省略したことで事前説明に不備があった場合、売却後に契約不適合責任を問われる可能性があるのです。
一般的に検査費用には5万円程度必要ですが、傾き以外の劣化や欠陥も確認できます。
検査の結果、傾きが3/1,000に満たない程度で建て付けにも支障がなければ、そのまま売却して問題ありません。
3/1,000以上の傾きが認められた場合で扉の開閉などに支障がある場合は、床や建て付けの補修をおこなうか、修繕費用を見越して売却価格を下げます。
補修工事費の概算を目安に価格設定しますが、マンションでは相場より100万円前後安くすることが多いです。
いずれの場合も、検査済みであるという証明書を添付すれば買い手が安心できるでしょう。